建築家と原価で造る

住宅とデザインについて

デザイナーズハウス、デザイン住宅、このごろよく聞きますが、いったい何のことでしょう? 意匠設計とどう違うというのか、よくわかりません。デザインには、意匠や設計という意味が含まれていますし…。
どうやら、いっぷう変わった外観や、アーティストを称する人たちが関わった建物を指すことが多いようです。よく解釈すれば、建築家以外の感性を生かすということになるのでしょうか。

デザインはBAUHAUSから派生しました。つまり、もともと建築と関係の深いものです。建築デザイン・プロダクトデザイン・グラフィックデザインいずれも、ドローイング(スケッチ・ドラフト・サムネイル)から模型、実施設計と似た工程を踏みます。

デザインとアートの違い

話はいきなり飛んでしまいますが、国立博物館で《プライス・コレクション》の展示がありました。
プライス・コレクション=伊藤若冲と見られがちです。確かに一つの重要な核をなしますが、琳派の作品も素晴らしい審美眼で蒐集され、充実しています.

ジョー・プライス氏は、パイプライン建設会社の2代目であり、自身も技師です。父親の代に建てられた、本社であるプライスタワーはフランク・ロイド・ライトの設計になるものです。
その縁でプライス氏は、ライトやブルース・ゴフから親しく教えを受けてきました。ライトは浮世絵のコレクター(というよりバイヤー)としても有名です。そんな環境がプライス氏の審美眼を育てたのでしょう。氏のコレクションのセンスは、建築デザインの素養から来たものといえます。コレクションの多くを屏風が占めていることも、それを物語っています。

屏風は建物(部屋)の調度品として作られたものです。特に江戸琳派は、きわめてデザイン性の高いものを作っているのはご承知のとおりです。
ライトを初め、近代の建築家も家具等の調度品をデザインしていますが、建築とデザインは洋の東西を問わず、大変密接な関係があることがわかります。

屏風

画像(公開されている平面の複写図を立体的に加工しました)は、プライス・コレクション中の江戸琳派後期、鈴木守一《扇面流図屏風》です。これだけ存在感のあるデザインと拮抗する部屋が、住み心地のよいものかどうか? 「和める」とか「癒される」という室内ではなさそうです。
数寄屋風建築は、好き勝手に作るからだという言い方をすることがあります。その建物に似つかわしい調度品も、また施主の好みを反映したものです。

デザインには必ず目的があり、主役は常にクライアントです。自己表現や独自性などとは無縁のものです。そこがアートと根本的に異なる点です。
琳派の祖先(?)である、尾形光琳の《風神雷神図屏風》は俵屋宗達の模写といわれます。しかし、このことは光琳作品の価値を低めるものではありません。依頼主の要望にそった、最適な作品(商品)を制作した結果なのです。
琳派がデザイン性に優れているということは、依頼主の意向をくみつつ、それを発展的に裏切るデザイナーとしての技量があることを意味します。

アーティストを称する人たちが、建築にデザインをもたらすことなど果たしてできるのでしょうか? 建築デザインということを考えたとき、数寄屋風造りでなくても、主役はやはりお客様でなければならないでしょう。

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